「これだ」と思える道具

職人の旦那に教えてもらった二つの道具を手に、再びコアを削り始めました。ようやく「これだ」と思える道具に出会い、サーフボードらしい形が見えてきます。ところが、その先には新たな四つの問題が待っていました。

コアを削るために使ったサーフォーム
東京で代々ヤスリを作り続けている職人の方の人情に触れ、私は何か新たな力をいただいたような気持ちになりました。

このご厚意を無駄にせず、何としても試作品を形にしたい。

あらためて、身が引き締まる思いでした。

ヤスリ職人の旦那に教えていただいたのは、「サーフォーム」と「のこヤスリ」という二つの道具です。

私はホームセンターを見て回ったり、インターネットで調べたりしながら二つの道具を探し、ようやく手に入れました。

さっそく試してみたい。

しかし、その前に、土台となるコアをもう一度、最初から作り直さなければなりません。

初めてコアを作ったときは、何もかもが手探りでした。あれこれ試し、失敗し、また別の方法を試す。その繰り返しで、ずいぶんと時間がかかりました。

ところが、同じ作業を繰り返していると、不思議なことが起こりました。

少しずつ、手順が身についてきたのです。

「ここは、こうした方が正確にできる」

「これは別の方法で進めた方が早く終わる」

そんなふうに、作業をしながら自分で工夫し、判断できるようになってきました。

こうして私は、格子状の空間にスタイロフォームを詰め込んだコアを、再び用意しました。

まずは、サーフォームです。

「少しずつ、少しずつ」

そう自分に言い聞かせながら、慎重に削っていきました。

やはり、道具と用途がうまく噛み合っていたのでしょう。以前使った棒ヤスリとは違い、スタイロフォームがどんどん削れていきます。

「このまま全体を削っていこう」

私は無我夢中で作業を続けました。

朝から始めたはずなのに、気がつけば、もう昼を過ぎています。

それでも、削り終えたのは片側のレールだけ。

ふと手を止めると、右腕にはかなり疲労がたまっていました。このまま片方の腕だけを使っていたら、最後まで持たないかもしれません。

そこで決めました。

昼食の後は、左手でやってみよう。

素早く昼食を済ませ、私はすぐに作業へ戻りました。

「よし。ここで、もう一つの道具、のこヤスリを試してみよう」

道具を替えれば、作業が速くなり、腕への負担も少し軽くなるかもしれません。

のこヤスリを手に取り、スタイロフォームを削ってみました。

それほど力を入れていないのに、表面が驚くほど滑らかに、そして勢いよく削れていきます。

まるで違いました。

「これだ。こいつが “right stuff” だ!」

ついに、このコアを削るのにぴったりの道具を見つけた瞬間でした。

その後、外周に曲面をつけるように削り、ノーズ(前方部)とテール(後方部)には、少しずつ反りをつけていきました。

ここまで来るのに、三日ほどかかりました。

それでも、何とか――

サーフボードらしい形が見えてきました。

出来上がった試作品の原型を手に取り、私は隅々まで眺めながら、これから先のことを考えました。

ようやくここまで来た。

ところが、その喜びと同時に、四つの問題が見えてきました。

一つ目は、ノーズやテールに反りのある形状をつけるために、非常に多くの時間と手間がかかってしまうこと。

二つ目は、スタイロフォームそのものは簡単に削れても、段ボールで作った骨組みを一緒に削るのが難しいこと。

スタイロフォームと段ボールでは硬さが違います。そのため、両方を同じ速さで削ることができず、表面に段差ができてしまうのです。

そして、三つ目。

格子状の空間すべてに、スタイロフォームを隙間なく詰め込んでいます。

そこで、私は考えました。

これでは、一般的なプラスチック製サーフボードと比べても、プラスチックの使用量を十分に減らせていないのではないか?

そして四つ目は、外周の曲線を削り出している途中で、骨組みに接着したスタイロフォームがポロポロと剥がれ落ちてしまうことでした。

剥がれるたびに作業を止め、もう一度接着し直さなければなりません。

なかなか思うように作業が進みません。

「これらの問題を解決するには、どうしたらよいのだろうか?」

ようやく、最初のサーフボードらしいシルエットを手にすることができました。

しかし、その形が見えてきたまさにその瞬間――

それまで気づかなかった新たな課題が、次々と噴き出してきたのでした。


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ヤスリ職人を訪ねて

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