小さな誤差が、大きな問題に!

何百個も切り出したスタイロフォームが、骨組みに入らない! 小さな誤差が積み重なり、思いがけない大問題に。ところが、台所で使う意外な道具に、解決のヒントが隠れていました。さて、どうやって乗り越えたのでしょうか?


自作の木製プレス機
「なんでだぃ……?」

せっかく自作した大型電熱線カッターで、大量に切り出したスタイロフォーム。

ところが、実物大のサーフボードの骨組みには、なかなかうまくはまりません。

見た目はどれも同じ大きさなのに、どうしてなのでしょう。

一つ問題を解決したと思ったら、また次の問題です。

私は、自分の力だけで実物大の試作一号機を作り上げたいと、強く思っていました。

「本当に海に浮かぶサーフボードを作れるだんべか?」

そんな思いが、いつも頭のどこかにありました。

品質や見た目は、ひとまず置いておこう。

まずは最後まで、自分の力で作り上げてみたい。

そして、完成したサーフボードを海へ持って行き、自分の目で確かめたいのです。

実際に海へ浮かべてみれば、きっと新しい課題も見えてくるでしょう。

次に目指すべき完成形も、もっとはっきりと思い描けるはずです。

だから、ここで立ち止まるわけにはいきません。

さて、どうしたものか。

格子状の骨組みには、すでに接着剤を付けながら、スタイロフォームを一つずつはめ込み始めていました。

骨組みが動かないよう、まずはノーズ(前方)とテール(後方)を固定し、そのあと左右の端へと作業を進めていたのです。

最初は順調でした。

ところが、作業を続けるうちに……。

「何かおかしいなぁ」

スタイロフォームが、少しずつ入りにくくなってきました。

やがて、はめ込んだスタイロフォームに押されて格子の空間が狭くなり、とうとう、それ以上入らなくなってしまったのです。

しかも、必要なスタイロフォームは、すでに全部切り終えています。

「こいつぁ、弱ったぃなぁ」

よく考えてみると、一つひとつはほんのわずかに大きいだけでも、それが何百個も集まれば、誤差は少しずつ積み重なっていきます。

小さな誤差が集まって、大きな問題になっていたのです。

では、どうすればよいのでしょう。

ふと、一つのアイデアが浮かびました。

「ちょっと押しつぶしてみりゃ、ちょうど良い大きさになるんじゃねぇかぃ?」

さっそく試してみると、どうやらうまくいきそうです。

ところが、ちょうどよい大きさにつぶすには、なかなかコツが必要でした。

これでは時間もかかります。

もっと簡単に、誰がやっても同じ大きさにできる方法はないだろうか。

まずは棒ヤスリを押し当て、体重をかけてみました。

ところが、つぶし過ぎたり、逆につぶし足りなかったり。

漬物石まで持ち出して試してみましたが、結果は同じでした。

そこで、私は気付きました。

必要なのは、勘や力加減に頼ることではありません。

誰が作業しても、同じ結果になる仕組みなのです。

そのためには、新しい道具が必要でした。

「何かを押しつぶす道具はなかんべか?」

あれこれ考えているうちに、金属を曲げたり押したりするプレス機を思い出しました。

小さくて、安く作れるプレス機があればいい。

手の力だけで、簡単に押しつぶせる道具。

そんな道具を探して、図書館やインターネットでいろいろ調べてみました。

すると、ある道具が目に留まったのです。

トルティーヤプレス。

トルティーヤという薄いパンのような食べ物を作るために、生地を平らに押しつぶす道具です。

てこの原理を利用した、とてもシンプルな仕組みでした。

「コイツだ!」

私はすぐに作業場へ向かい、端材の木を使って試作を始めました。

必要な金具を集め、あれこれ工夫しながら、数日かけて木製のプレス機を完成させました。

さっそく、大きさの揃わないスタイロフォームを押してみます。

さて、結果は……。

「Pretty Good!」

思わず声が出ました。

これなら、安心してスタイロフォームをはめ込んでいけそうです。

少し遠回りにはなりましたが、私はまた一つ、大切なことを学びました。

良い製品を作るためには、良い道具も必要なのだということです。

こうして、実物大のサーフボードコアが完成しました。

しかし、まだサーフボードらしい滑らかな形にはなっていません。

次はいよいよ、この四角いコアを削り、サーフボードの曲面を作り出していく工程です。

さて、今度はどんな発見が待っているのでしょうか。


前へ
自分の手で、道をつくる

返信はありません

Email again: