自分の手で、道をつくる

いよいよ実物大のサーフボード作りへ。必要な道具が見つからないなら、自分で作ればいい。一つの問題を乗り越えると、その先にはまた新しい問題が待っていました。

自作した大型電熱線カッター
小さなサーフボードの原型を作り終えた私は、いよいよ次の一歩へ進もうとしていました。

今度は、実物大のサーフボードを作ってみたい。

しかし、そのためには、まだ解決しなければならない課題がありました。

それまで私は、カッターナイフやハサミを使って、段ボールの骨組みをすべて手作業で作っていました。

小さなサーフボードのコアを作るだけでも、かなりの時間がかかります。

これが実物大になったら、一体どれほどの時間が必要になるのでしょう。

それに、段ボールにはさまざまな硬さがあります。

どの種類がサーフボードのコアに向いているのか、専門家の意見も聞いてみたい。

そして、もう一つ。

実物大の骨組みを、機械で正確に切り出すことはできないだろうか。

それができれば、作業時間を短くでき、精度も上げられるはずです。

そこで私は、イエローページやインターネットを頼りに、近くの小さな段ボール会社へ問い合わせを始めました。

担当者と話せば、何かヒントが見つかるだろう。

そう思っていました。

ところが、なかなか思うように話を聞くことができません。

時間だけが過ぎていきます。

「このまんまじゃいけねぇ。ちょっとでもプロジェクトを前へ進めなくっちゃ。」

そこで私は、段ボール会社への問い合わせを続けながら、今ある技術だけで実物大のサーフボードを作ってみることにしました。

長さ200cm、幅80cm、厚さ8cm。

いよいよ、実物大のコア作りに挑戦です。

ノーズ(前方)とテール(後方)が自然に反るよう、普段使っていたサーフボードを参考に形を考えました。

まず、短い段ボールを切り出し、それをテープでつないで長いパーツを作ります。

さらに、それらを四ツ目編みのように組めるよう、一つひとつ切れ込みを入れていきました。

切って、つないで、また切る。

その繰り返しです。

気の遠くなるような作業でした。

それでも、少しずつ形になっていきます。

そして、ようやく完成したパーツを組み上げると――

大きな長方形のコアが、目の前に姿を現しました。

持ち上げてみると、想像以上にしっかりしています。

それでいて、斜め方向には適度にしなる柔軟性もありました。

「よぉし。これならいけそうだぃ。」

次は、この格子状の空間に、ぴったりの大きさに切ったスタイロフォームを一つずつはめ込んでいきます。

ところが――

また、新しい壁が現れました。

大量のスタイロフォームを、同じ大きさに切らなければなりません。

カッターナイフでは時間がかかるうえ、すべてを正確に同じ大きさに切るのは、とても難しいのです。

「もっと良い方法はなかんべかぁ。」

そう考えながらホームセンターを歩き回っていると、ある道具が目に入りました。

発泡素材専用の電熱線カッターです。

試してみると――

きれいに切れる。

「こいつだ。」

ところが、そのカッターは小型でした。

一度に切れる量は、ほんのわずかです。

もっと大きなものがあればいい。

しかし、大型の製品は見当たりません。

それなら――

「自分で作ってみっかぃ。」

私は、小型カッターの仕組みを参考に、大型の電熱線カッターを自作することにしました。

スタイロフォームの幅は910mm。

ならば、その幅を一度に切れるものを作ろう。

問題は、電源でした。

スタイロフォームがちょうどよく溶ける電圧のACアダプターが必要です。

私は中古部品店を何軒も回り、手に入れた部品で何度も試験を繰り返しました。

強すぎてもいけない。

弱すぎてもいけない。

試しては変え、また試す。

そして、ようやく――

ぴったりのACアダプターを見つけました。

自作の大型電熱線カッターの完成です。

実際にスタイロフォームを通してみると、大きな板が驚くほど簡単に切れていきます。

「おおっ、うんまく切れるじゃねぇかぃ。」

あれほど大変だった作業が、一気に進むようになりました。

自分で考え、自分で道具を作り、問題を一つ解決することができた。

それは、私にとって大きな自信になりました。

ところが――

喜んでいたのも、つかの間でした。

大量に切り出したスタイロフォームを並べてみると、どれも同じ大きさに見えます。

しかし、実際には――

少しずつ寸法が違っていたのです。

格子へはめ込もうとすると、

入らない。

これも入らない。

また、これも入らない。

せっかく大量に切り出したスタイロフォームが、次々とはまらないのです。

「なんでだぃ……?」

一つ問題を解決したと思ったら、また次の問題が現れる。

サーフボード作りは、まだまだ私を簡単には先へ進ませてくれないようでした。


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