問題から、可能性へ

次から次へと立ちはだかる問題。でも、その一つひとつが次のアイデアへのヒントとなり、やがて実物大の試作品へとつながっていきました。

成形に使った「のこヤスリ」
私は、サーフボードのシルエットを形づくる土台となるコアを削るために、ようやく最適と思われる道具を選ぶことができました。

そして何とか、最初の試作品の原型を手にすることができたのです。

「よし、形になってきたぞ」

そう思えたのも、ほんのつかの間でした。

達成感に浸る暇もないまま、新たな課題が雪崩のように押し寄せてきたのです。

第一の問題は、サーフボードの反りでした。

この反りを手で削り出すには、あまりにも手間と時間がかかります。

第二の問題は、素材そのものにありました。

私は、スタイロフォームだけでなく、段ボールで作った骨組みも一緒に削りたいと考えていました。しかし、二つの素材は硬さが違います。そのため、一緒に削ると表面に段差ができてしまうのです。

そして第三の問題は、もっと根本的なものでした。

骨組みのすべての格子にスタイロフォームを詰め込んでしまったら、結局、プラスチック素材を減らしたことにはなりません。

さらに、もう一つ。

外側の曲線を削っている途中で、接着したスタイロフォームがポロポロと骨組みから剥がれ落ちてしまうのです。

剥がれるたびに作業を止め、もう一度接着し、また削り始める。

まさに、一難去ってまた一難です。

ここで逃げ出すこともできました。

これまでやってきたことを、全部なかったことにしてしまうことだってできたでしょう。

でも、ここまで来る間にも、いくつもの難関が立ちはだかっていました。

そのたびに知恵を絞り、何とか方法を見つけ、少しずつ前へ進んできたのです。

そして私は、後になってこんなふうに思うことだけは避けたかったのです。

「あのとき、もう少しだけ続けておけばよかった」

途中で諦めて、そんな後悔を残したくはありませんでした。

そこで今回も、もう一度、問題と向き合ってみることにしました。

「この問題そのものが、次に何を変えればいいのか教えてくれるんじゃないか?」

サーフボードの反りを削り出すのに手間がかかるのであれば、最初から反った形の骨組みを作ればいいのではないか。

スタイロフォームと段ボールの硬さの違いが問題なら、一緒に削ることができるような硬さの段ボールを探してみてはどうだろう。

成形するときにすべての空間をスタイロフォームで埋める必要があるのなら、まず全体の形を作ってから、不要な部分を好きなだけ取り除けばいいのではないか。

そして、外周を削るときにスタイロフォームが剥がれてしまう場所は、あらかじめ骨組みの一部を切り取り、そこへスタイロフォームをしっかり接着しておけばいいのではないか。

そうすれば、もっと安定した状態で削れるかもしれません。

一つ、また一つ。

問題が、少しずつ改善のためのヒントに変わっていきました。

そして私は、決めました。

「よし。もう一度、骨組みから作り直そう。思いついた方法を全部試してみるんだ。今度は、実物大の試作品を作ってみよう」

これまで作っていたのは、小さなサーフボードの模型でした。

でも次は違います。

実物大のものを自分の手で作り、実際に持って、じっくり眺めてみたい。

そして、その先へどう進めばいいのかを考えたいと思ったのです。

けれど、私の心の片隅には、もう一つの問いがありました。

「自分の手で、本当に海に浮かべられるサーフボードを作ることができるのだろうか?」

分かりません。

もしかすると私は、それを確かめたかったのかもしれません。

自分に何ができるのか。

それは、頭の中でいくら考えていても分かりません。

想像していたものが実際に形になり、自分の目で見て、自分の手で触れたとき。

そのとき初めて、自分にできることが少しずつ見えてくるのではないでしょうか。

人は、

「こうなりたい」

「あれをやってみたい」

と、いろいろな希望や願いを抱きます。

でも、願っているだけでは、答えは分かりません。

思い描いていたとおりになるかもしれない。

まったく違う結果になるかもしれない。

それを知る方法は、一つしかありません。

やってみることです。

私は、これまでに思いついた改善案を全部抱えて、次の一歩を踏み出すことにしました。

もう、小さな模型ではありません。

さあ、いよいよ実物大の試作品です。


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